「だいすき」の、
つたえかた。
犬がほんとうに うれしいスキンシップ ・ 2026年9月
ぎゅっ、は じつは にがて?
人にとって、抱きしめるのは いちばんの愛情表現。でも犬にとっては、体を動けなくされることが「逃げられない」という不安につながりやすいといわれています。
犬の行動学者スタンレー・コレン博士が、人が犬を抱きしめている写真250枚を調べたところ、約8割の犬に、顔をそむける・耳をふせるなどのストレスのサインが見られました。2024年には、抱きしめられている犬の動画を分析した研究でも、多くの犬が目をそらしたり、舌をぺろっと出したりしていたと報告されています。
もちろん、抱っこが平気な子や、好きな子もいます。大切なのは「犬はみんな〜」と決めつけることではなく、目の前の その子の反応を見ることです。
「いまは、ちょっと…」のサイン
犬は、ことばのかわりに体で気持ちを伝えます。触れ合っている最中に、こんな様子が見えたら、いったん手をとめて。
- 顔や体を、ぷいっと そむける。
- 舌で、口や鼻を ぺろっとなめる。(ごはんのあとでもないのに)
- あくびをする、体をぶるぶる ふるわせる。
- 白目が見える、耳をうしろに ふせる。
- 体が かたまる、そっと はなれていく。
サインのことは、こまの、こえなき ことば でも くわしく。「ううー」とうなるのは、もっとはっきりした「やめて」です。→ 「ううー」の、ほんとの気持ち
やりすぎ注意の、7つ
1ぎゅっと、つかまえない
いやがって逃げようとしたり、体をこわばらせたりしたら、そこでおしまい。抱っこするときは、胸とおしりを両手で支えて、宙ぶらりんにならないように。フレブルは頭と胸が重めなので、前足だけを持ち上げるのは避けてください。
こまより:おしりを ちゃんと支えてくれると、安心して まかせられるよ。
2顔を、近づけすぎない
顔をぐっと近づけられたり、真正面からじっと見つめられたりするのは、犬の世界では少し圧の強いあいさつ。ほおずりやキスをしたくなったら、その子が自分から顔を寄せてきたときに。
こまより:わたしからの「ちゅー」は、いつでも受けつけてるよ。
3寝ているときは、そっとしておく
犬にとって眠りは、体と心を回復させる大事な時間。かわいい寝顔ほど触りたくなりますが、何度も起こすと、休めないまま疲れがたまってしまいます。見守るのも、愛情のひとつです。
こまより:寝顔は、見るだけにしてね。いびきは、聞き放題だよ。→ 寝顔にも、意味がある
4はしゃぎすぎに、ブレーキを
遊びは最高のコミュニケーション。ただ、激しく追いかけ回したり、長く興奮させつづけたりすると、体に負担がかかります。とくにフレブルは、興奮すると呼吸が荒くなり、体に熱がこもりやすい犬種。ハアハアが強くなってきたら、ひと休みの合図です。
こまより:引っぱりっこも ボールも だいすき。でも、夢中になると とまれないから、止めてくれるとたすかる。→ 夏の暑さ・熱中症対策
5はなれていったら、追いかけない
犬が自分から離れていくのは、「いまは そっとしておいて」の気持ち。追いかけて構うと、「この人のそばは落ち着かない」と覚えてしまうことも。すこし離れたところから、静かに見守ってあげてください。
こまより:ちゃんと、また戻ってくるから。
6おねだりに、ぜんぶは応えない
鳴いたらおやつ、せがんだら遊んでもらえる——これが続くと、要求はだんだんエスカレートします。かわいいお願いを聞くのは悪いことではありませんが、家族で決めたルールは、みんなで同じように守ることが、犬の安心にもつながります。
こまより:お兄ちゃんの「こっそりおやつ」は、ここだけのひみつ……だったんだけどな。
7ひとりの時間も、プレゼントする
いっしょにいる時間が長いほど、愛情が伝わるとはかぎりません。遊ぶ時間、おさんぽの時間、なでてもらう時間。そしてひとりで ゆっくり休む時間も、犬にとっては大切な一日のうちです。
こまより:ひとりで ごろんとしてても、ちゃんと家族のこと、見てるよ。
こまが うれしい、スキンシップ
- 胸やあごの下を、ゆっくりなでる。頭の上から手をかぶせるより、下から近づくほうが安心しやすい。
- 「もっと?」テストをする。数秒なでたら、手をとめてみる。体を寄せてきたら「もっと」、はなれたら「もうじゅうぶん」。
- となりに、ただ すわる。くっついて座るだけでも、犬にとっては立派なスキンシップ。
- 名前を呼んで、やさしく声をかける。声のトーンは、ちゃんと伝わっています。
- 好きな遊びに、つきあう。その子が夢中になれる遊びを、ほどよい時間で。
まとめ
「だいすき」の気持ちは、そのままで大丈夫。ただ、つたえかたを犬のほうに合わせてあげるだけで、スキンシップはもっと しあわせな時間になります。
いやがっているサインに気づいたら、手をとめる。自分から来てくれたら、たっぷり なでる。この くり返しが、「この人のそばは安心」という信頼を育てていきます。